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バッドエンド小話

くそのようなバッドエンド。
眠れなくてTwitterに呟いてたやつ×2のまとめ。
暗いです。


田舎で療養中の病弱で幼いお嬢さまがいて、両親は仕事仕事でほとんど会いに来ないため寂しい思いをしていた。
ある日、偶然出会った村の少年と仲良くなる。
召し使いや両親に屋敷から出ることを禁じられていたが、少年から聞いた、澄んだ川に足を浸した時の心地よさや、山の頂上から見る丸い世界、虫とり、取れたての野菜を井戸水で洗って食べたときの美味しさなどをどうしても体験してみたくて家の者にはバレないようこっそり、少年の手引きで抜け出す。
外の世界の楽しさを知った彼女は何度も少年と遊びにいった。
毎日が楽しかった。
しかし、ある日、足を踏み入れたことのない森に入ると粗野な男達(盗賊とか)に囲まれ、掴みかかられる。少年は少女を庇うが、あっさりと抑えられる。少女は複数人の男たちに犯され、それを凝視する少年。
全てが終わり、終に解放される、おうちに帰れる、命はたすかったと思った瞬間、少年が目の前で殺される。そのまま森に放置され、痛む体をなんとか動かして少年の体をおぶって屋敷へ帰る。
少年は勿論手遅れ。少女が傷モノになってしまったことも連鎖的にばれ、少年の葬式に出ることも許されず、ベッドに鎖で繋がれ部屋から出られなくなり、幼く無知なので自殺という概念のない少女は精神的に衰弱して死ぬ。

- 完 -


そこそこの企業に勤めていたサラリーマンが、会社がした汚職の罪をひっかぶせられて職を失い、世間に後ろ指を指される身の上になった。
借金は無いものの再就職先もなく妻子には捨てられ、貸家を追い出され、貯金を切り崩していたがすぐに首が回らなくなった。吊ろうと決意。

選んだのは人気の無い穴場で、不気味な雰囲気が漂う。考え直せと言う看板すらない。後には引けない、早く死のうと思うもののなんだかんだ未練がましく遺書を書いたり、電話帳のデータを一人一人消したり、携帯のメモ帳に遺書を書いたり、暗号にしてみて失敗したりしている。

もだもだやっていると背後から声をかけられた。
こんな所に人が、と驚きつつも振り替えると顔が善人そうな男が立っている。

死のうとしているのか、やめておけと止められる。漸く欲しかった言葉を貰えて瞳を潤ませる。なぜ死のうとしていたのかと聞かれ、事の経緯を打ち明ける。男は相槌を打ちながら神妙に聞いてくれる。更に、金がないのならば、仕事を紹介してやろう。猫の手も借りたいのだ。と鶴の一声。

早速紹介する、嫌なら断ってもいい。と言われる。どんな仕事でも請け負うと返す。
心強い、と車に乗せられる。最初は愛想が良かった男が目的地に近づくにつれて静かになる。嫌な予感。

到着したのはいかにも怪しい倉庫街。震えが止まらない。男はさっさと出ろとすごい力で頭を引っ張ってくる。
そのまま倉庫の中に引きずり込まれる。
中は鉄の臭いがする。
人相の悪い男たちが椅子に、その他の数人の男達が地べたに座っている。
彼らの仕事は人さらいとのことで、地べたに座る男たちは自分と似たような境遇らしい。

逃げたら殺すと言われるがそもそも逃げるような勇気や甲斐性の持ち主ならこんなところにいない。

その日初めて人を誘拐した。誘拐した人間は海外へ売り飛ばすらしく、拘束したのちに倉庫へと運ばれ、出荷されていく。需要と供給はこんなところでも成り立つのだとため息をつく。

新しい仕事場にも慣れ、一年が過ぎた。そこそこ組織にも信頼されるようになり、チーフを任されるようになった。常に財布が膨らんでいるくらいには手当ても貰える。人にばらしたり、逃げたり、大きな失敗をしなければ甘い蜜が吸える。ちょろい仕事だと思った。
その日もいつもと同じように小さな子供を誘拐するだけのちょろい仕事だった。
小学校の学区ギリギリから登校しているらしい子供。更に、人通りの少ないポイントも多い。
大人ならまだしも小学生、俺一人で十分だと現場へ向かう。子供なんてこの一年間で何回拐ったことか。ターゲットはまだ来ない。そういえば資料をまだ読んでいない。ふとした気まぐれで薄い紙に目を通し、固まった。
ターゲットは自分を捨てて妻と出ていった子供だった。それ以降連絡は取っていなかった。なにかの間違いだろうと何度も読み返すけれど文字は変わらない。そのうちバックミラーに遠くから子供が歩いてくるのが映る。
その子供を何らかの手段で、例えばスタンダードに親御さんが病気です、と騙すなり最悪轢くなりして連れていかねばならない。しかし、どうしても体が動かない。冷や汗が背を伝う。
ここで子供を連れていかなければ組織に何をされるかわからない。もし自分の子供だから見逃した、なんてことが明るみになれば自分は情に流される使えない駒だと判断されて捨てられる。組織からの信頼など所詮使い捨ての部品への信頼なのだから。
それでも、売られていった先での子供の扱いをこの一年で嫌ほど知った男には、自分の子供をその立場に貶めることは出来なかった。
最期に子供となにか話したいと思うものの今の自分にはそんな資格はないと考え、バックミラーを気にしながらもそっと車を走らせた。

- 完 -

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