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かきかけ


書きかけのものです。メモ帳が圧迫されてるのであげます。端正な顔立ちの少年の三本。

あの端整な顔立ちの少年が、道を子供たちが石でもって削って描いた円を、ひどく踏みにじって、下駄をカラコロ転がしてやって来るのが見えますと、心の臓がキュウッと真綿で締め付けられたかのような感覚に襲われることがしょっちゅうなのであります。そうして、我々の出会いは皐月の頃でありました。
春を振りほどこうとするあまり秋を呼びつけてしまったかのような涼しい昼でありました。私は午睡を楽しんでおりました。唐草模様の枕と、一枚の羽織とを縁側に持ち出して、人が来ないのを良いことにぐうたら寝ておりました。枕元には胡蝶の夢を持ち込みまして、まるで私が蝶がどうの、を考えついたかの異国の人であるかのように、微睡みに落ち込んでいきました。
そのまま意識が遠ざかっていきまして、目覚めれば少し肌寒くなっております。これはいけない、いけない、綿入れでも...と私は部屋に戻りました。すると、そこにおりましたのです。居たんですとも。彼です。端整な顔立ちの美少年が、そこに綺麗な正座で座っておりました。あまりにも苛烈、そして品のある姿勢で、脳天から剣で固定してあるかのようにピクリ、とも動きませんでした。
その脳天の斜め後ろから、「君」と声をかけました。本当ならばこのまま芸術的な背中を見続けていられたのですが、どうしても彼のことを深く知りたくなって、そうしました。
すると、まるで石臼の上の部分のように上半身をクルリ回して、「はい」と掠れて応えるのです。その人間みの欠如、私は一段と彼に恐ろしいものを感じました。そしてその目に射止められるという、恐怖。おそろしさ、私は彼の目線におびえて、そして、何故だか射精してしまったのです。



我々が荷台に武器を積めるだけ積んで、覆いをした後、変な音をたてて車を発進させたところ、向こうからあの端正な顔立ちの少年がやってきたのです。いつもの眼差しでしたが、私にはするどいピッケルのような、つららの先端のような目に思われ、背が凍りました。運転席にいた男は「見られた」と呟き、アクセルを一気に踏み込みました。車はまた変な音をたてて、



あの端整な顔立ちの少年は、なみなみ注がれた杯を手に宴の席を立ちました。(辺りはめいめい好き勝手に乱痴気、彼が出ていくのにもてんで気づいていないのだ。)夜風に当たってくるとでも言うのでしょうか、しかし、どうして酒なんぞ手に?私は一升瓶をつかんで草履をひっかけ、つけてきました。そして、裏庭の夜の空気はひどく青臭いのでした。

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