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ボツ

ボツ台本。



ありふれたファミレスの一席、向かい合って座る編集と村山。
二人の間には小さなパソコン(USB付き)、編集はパソコンをみている。


村「どうですかね...」
編「村山先生」
村「はい」
編「なんですかこれは」
村「そんなに素晴らしいですか!?」
編「逆、逆です、先生。なんですかこれは、クソですね」
村「えっ!?」
編「『えっ!?』じゃないですよ!!!なんですかこれは!!!なんですか!!!」
村「新作です!」
編「先生、私恋愛小説書けっていいましたよね?先生は『はい』って仰りましたよね?」
村「はい!」
編「...こんなの恋愛小説じゃないです!そもそも、人間出て来てないじゃないですか!」
村「はい!そうですね!!」
編「ナメクジとトリケラトプスしか出てこないじゃないですか!!」
村「はい!はい!そうですね!!」
編「しかも、なんで心中しちゃうんですか!?」
村「両親に反対されて...」
編「仕方ないことだったの...」
村「来世では...」
編「あなたの角になりたいわ...///」
村「僕は...」
編「君の、粘液に...///」
村・編「フフッ...」

間(編がゲンドウポーズ)

村「感動しません?」
編「しません。何が悲しゅうてナメクジとトリケラトプスの純愛を読まねばならんのですか!
(溜め息)
無いです...その発想がありえ無いです...」
村「新しくないですか?」
編「新しすぎます」
村「柔軟な発想力」
編「やかましい」
村「ごめんなさい」
編「次もボツでしたら契約を更新しませんから、宜しくお願いします。」
村「えっ!?何故!?」
編「これでボツ何回目ですか?」
村「...七回目?」
編「二一回目です。我々も十分チャンスは差し上げました。」
村「僕割と人気作家ですよ?」
編「我々も暇じゃない。あなたレベルの人気作家はあなただけじゃない。お分かりですね?」
村「...」
編「しかし、確かにあなたを手離すのは惜しいのです。作家というものは育てようと思って育てれるものではありませんしね...。そこで、あなたに助手のような者をつけることにいたしました。」
村「助手?」
編「ええ。助手。」
村「恋愛小説のための?」
編「恋愛小説のための。」

村、いぶかしげに編集を見つめる。

村「どういうことです」
編「まあ、すぐわかりますよ。ちょっと待っていてください。
(電話を取りだし)
もしもし、マリア?私だ。入ってきてくれ。うん、奥の席だ。」

マリア登場。

マ「今晩は、高村の叔父さん。そして、はじめまして、村山先生。
私、稲生(いなお)マリアです。(ペコ)」
村「あ、ども...村山です...(ペコ)
...高村さん、どういうことです」
編「村山先生、あなたは恋をしたことがありますか?」
村「なんですか、いきなり」
編「いいですから」
村「...ありませんけど」
編「でしょうね。やはり。」
村「萩原とかからよく話は聞きますけど」
編「体験はない、と。」
村「...ええ。」
編「村山先生にマリアと、恋をしていただきます。」
村「は!?」
マ「よろしくお願いしますね、先生。」
村「えっ」
編「では、詳しいことはマリアに聞いてください。新作、楽しみにしてますよ」
村「ちょ、ま、待ってください!!」


暗転


村山の部屋
村山とマリアが向かい合って座布団に座る。
二人の間には卓袱台。(湯飲みが2つ乗っている。)

村「...つまり、君は高村さんの姪っ子で、僕が恋愛小説を書くための助手として派遣された、と、」
マ「いうことです。」
村「...君、いくつなの?」
マ「十六です。」
村「犯罪じゃないかー...私は二二だぞ...あり得な...」
マ「あら、あり得ないなんて言葉こそあり得ません。
先生は小説を書かれるのでしょう?
フィクションでしょ?
むしろ現実味のない方が、宜しいのでは?」

村山、溜め息。

村「...本当、事実は小説よりも」
マ「素敵ですよね(ニコ)」
村「..........(溜め息)........君といると、どうも調子が崩れるよ...」
マ「うふふ(ニコニコしながらお茶を飲む)」
村「...普通、知らない男と恋をするなんて嫌じゃないの。」
マ「知りません、私、普通ではありませんし」
村「...どういうこと?」
マ「...先生は、エイセクシャルってご存知ですか?」
村「なにそれ」
マ「エイセクシャルとは、日本語で言うと、無性愛(むせいあい)。簡単に言うと、他人に恋愛感情も性的な欲求も抱かない人間の事です。」
村「...」
マ「お察しの通り、私、エイセクシャルなんです。
...そしてきっと、先生もそうでしょう?思い当たりませんか?」
村「...」
マ「(クスクス)嘘ですよ、そんな深刻な顔しないでください。」
村「君なぁ...」
マ「本当は、」
村「本当は?」
マ「...聞きたいですか?」
村「ああ。」
マ「...聞きたいですか?」
村「うん。」
マ「...聞きたいですか?」
村「教えてください」
マ「いいですよ。...これ、なにかわかります?」

マリア、ポリンキーのイラスト(大きめ)を取り出す。

村「こ、これは...」
マ「古に伝わりしポリンキーです。」
村「美味しいよね。それで?」
(♪:ポリンキー)
マ「ポリンキー♪ポリンキー♪」
村「(ハッとして)三角形の秘密はね♪」
マ「教えてあげないよ♪」
マ・村「ジャン♪」
村「...ちくしょおおおおお!!!」

暗転(短め)
場転無し。

萩原が登場。チャイム押す。

(♪:ピンポーン)

マ「はーい」

(♪:ガチャ)

萩「...(じっと見るー)」
マ「...」
萩「...」
マ「あ、あの」
萩「村山が...若い女になった!!!」
マ「えっ!?」
萩「はじめてあった頃から好きだった妻子はどうせ別居中だかまうことはない気にするな(一息で)」
マ「(絶句)」
萩「(息を吸って)結婚しよう、幸せにする」
マ「い、いやぁあああぁぁあ!!!!!」
恩「アホか!!!!!
(現れてた恩地、萩原をハリセンで叩く)」
萩「痛っ!!」
恩「真面目に考えろ、村山なわけないだろ」
萩「真面目に考えました」
恩「やかましい」
萩「ごめんなさい」
マ「あ、あの...」
恩「...あ、この変態がすまなかったなお嬢さん。俺は恩地というものだが、」
萩「ハーイ俺萩原!萩原をよロ゙ッ゙(また叩かれる)」
恩「悪いが、村山はいるか?」
マ「ほ、本屋に、行きましたが。ついさっき。」

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